材料の組織と特性部会では、2025年度に新たに3つの自主フォーラムを設置いたします。2025年度設置の自主フォーラムの活動期間は2025年3月1日から2027年2月末日までの2年間とし、特に活動の継続を必要とする場合には更新することもあります。
下記自主フォーラムへの参加を希望される本部会登録会員は、(1)氏名(2)所属(3)電話番号(4)電子メールを明記の上、下記の世話人へ直接ご連絡下さい。 |
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1. | 「組織制御における合金元素の熱力学・拡散の基礎的理解」自主フォーラム
趣旨:相変態や析出によって生じる合金元素の不均一分布は、鉄鋼材料の更なる高強度・高延性化の鍵となっており、その精緻な制御のため相変態における元素機能発現機構の解明と、その定量的な理解が求められている。また、電炉鋼における低品位スクラップの活用拡大が見込まれており、特性を劣化させるトランプ元素の粒界への濃化による特性劣化制御も喫緊の課題である。このような合金元素の不均一組織分布を積極的に制御するためには、パラ平衡やNPLE、ソリュートドラッグ、エネルギー散逸、格子欠陥/元素・元素間相互作用などの熱力学や拡散理論に基づく基礎的な理解が不可欠である。このような背景のもと、これまで本分野における熱力学や拡散理論の基礎学理を学び最新知見を共有するための場としてフォーラム・自主フォーラムが継続して活動してきた。 本自主フォーラムでも、本分野における議論と学びの場を提供する。
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2. | 「製鋼プロセスと鉄鋼材料の総括的解析と制御」自主フォーラム
趣旨: この活動では、例えば多結晶材料の変形解析において、巨視的力学特性と微視的力学特性の関連をマルチスケールでの応力・歪み評価を通じての理解の重要性について議論を重ねてきた。解析には、多変量データを俯瞰的に観察し、合理的な解釈を導き出す虚心坦懐な姿勢が必要である。すなわち先入観に捉えられた解析は誤った結論に至り、研究の方向性にも悪影響を及ぼす。材料特性発現は製鋼プロセスにまで要因が遡るため、議論の対象がプロセス解析にまで拡大する。 本自主フォーラムでは、このような最新分析解析技術を用いる製錬プロセスと鉄鋼材料の解析を通じて、従来解決困難であった事象の改善について意見交換や研究紹介を行う。誤った結論や方向性を回避し、効率の良いプロセス設計の指針を構築する。鉄鋼材料の特性には、製鋼プロセスが深く関わっており、特性改善のためには製造工程までさかのぼっての要因の探索が必須となる。機器分析技術は、ハードウェアの改良からAI技術などを応用するソフトウェアの開発に重点が移りつつあり、データマイニング的解析の発展は著しい。新しい分析方法の開発も継続して盛んであり、製鋼プロセス解析、鉄鋼材料解析への応用についても議論する。
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3. | 「鉄鋼の組織と特性に対するDXやMIの適用」自主フォーラム
趣旨: 近年、鉄鋼業界においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速し、製造現場においてはセンサーデータやAIの活用により、生産設備の稼働率向上、品質安定化、エネルギー効率化が図られています。一方で、新製品開発においても、シミュレーション技術やAIを活用することで、短期間で効率的に材料の探索・開発を進めるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)の適用が強く求められています。しかし、高機能な鉄鋼製品の開発には、材料の組織と特性を深く理解し、制御することが不可欠であり、過去に蓄積された貴重な冶金学的知識と新たな技術であるDXやMIの融合が、今後の鉄鋼開発の鍵となると考えています。 本フォーラムでは、鉄鋼材料に限らず最新のシミュレーション技術やDXやMIを駆使した最先端の研究開発事例を共有することで、鉄鋼材料の組織と特性の解析・予測・制御に資するDXやMIの活用手法のあり方に関して広く討議することを目的とします。具体的には、「データ駆動型材料開発」「組織観察・解析技術の高度化」「組織・特性予測モデル」等を議論したいと考えています。 本フォーラムを通じて、データサイエンティスト、材料科学者、鉄鋼メーカーの連携を推進するとともに、鉄鋼業界のDXを加速させ、高機能な鉄鋼材料の開発に貢献することで、日本の鉄鋼産業の国際競争力強化に繋げたいと考えています。
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