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会長メッセージ


会長就任にあたって
丹村 洋一 JFEスチール(株)代表取締役副社長

この度、第53代日本鉄鋼協会会長に選任されました丹村洋一です。大変な名誉であると共に、責任の重大さを強く感じております。


1915年に設立された日本鉄鋼協会は、野呂景義先生が初代会長に就かれ、以来、100年に渡り、我が国および世界の鉄鋼研究・技術並びに関連する科学技術の発展に、そして、人材の育成に大きく寄与してまいりました。私自身も、本会の講演会・技術部会での発表や討論、それによる切磋琢磨を通じ、成長させていただきました。微力ではありますが、皆様方のお力をお借りしつつ、伝統ある本会の発展に尽力したいと存じます。


長きにわたる度重なる円高・新興国の追い上げにより、多くの日本製造業は海外にその製造拠点を移してまいりました。しかしながら、日本鉄鋼業はたゆまぬ研究・技術開発により国際競争力を保ち、1970年以降40年以上に渡り国内粗鋼生産1億トン規模を維持し続け、現在は自動車産業に次ぐ、輸出出荷額第2位(2014年貿易統計)の産業として、国内雇用の創出と経済の発展に大きく貢献しています。しかし、世界経済は今、再び停滞局面に入り、中国の鉄鋼生産能力過剰問題が深刻化し、日本鉄鋼業は再び大きな試練の時期を迎えています。また、昨今の新興国の技術力の向上はすさまじく、日本鉄鋼業の技術優位性は必ずしも安泰ではありません。このような環境の中、我が国経済・産業の発展のためには、鉄鋼研究者・技術者の果たす役割は今後ますます大きくなっていくものと確信しております。


本会は今から約100年前、「学理と実業の結合」を基本思想に設立されて以降、産学一体となって鉄鋼技術の発展・強化に努めてまいりました。今後は次の100年に向け、この基本思想を大切にし、世界最先端を走り続ける日本鉄鋼業界を、学術・技術面から支えてまいります。


学会である日本鉄鋼協会の基本活動は、講演大会の開催、論文誌の発行です。近年、会員数は減少傾向にありますが、国際的認知度の高まり等から、欧文誌「ISIJ International」への投稿数は伸びており、論文誌としてのインパクトファクター(文献引用影響率)も1.0を越えるなど質の高い学術論文の投稿が続いております。しかしながら、和文誌「鉄と鋼」への投稿数や講演大会での発表件数は10年以上にわたり一進一退の状態が続いております。今後、更に学・産の皆様方が連携して活発な学術活動を推進されますことを期待する次第であります。


次世代の鉄鋼研究者・技術者の育成も、協会の大きな柱です。平成23年から開始した「修士学生向け鉄鋼工学概論セミナー」、「企業経営幹部による大学特別講義」など学生向け事業を実施してまいりましたが、より魅力ある内容へと、更なる充実を図ってまいります。企業技術者の育成カリキュラムである、「鉄鋼工学セミナーおよび同専科」、「アドバンストセミナー」は、各企業の教育システムの一環として定着しておりますが、最新の学術・技術成果をタイムリーに講義に反映しつつ、企業ニーズに則した内容への充実を図ってまいります。


鉄鋼の学術・技術の活性化に向け、学会部門と生産技術部門の連携を強化するとともに、他学協会との連携を進めて参ります。昨年、日本鋼構造協会と連携し、建設用鋼材利用検討WGが活動を開始いたしました。今後もこのような他学協会との連携を深め、新たな提案につなげるべく関連境界領域への積極的な取り組みを推進してまいります。


現在、鉄鋼関係では、「革新的新構造材料等研究開発」、「環境和型製鉄プロセス技術開発(COURSE50)」の大きなナショプロが推進されております。日本鉄鋼協会は、それらのプロジェクトのシーズ・ニーズ発掘の場となってまいりました。今後も新たなプロジェクトの提案者となるべく、技術シーズ、ニーズの融合を各種研究会にて高めるとともに、関連省庁との連携も積極的に進めます。また、内外への情報発信力を強化するため、協会に蓄積された各種研究、技術情報の電子化を進めるとともに、科学研究費補助金(研究成果公開促進費「国際情報発信強化」)の交付を受け、日本の鉄鋼科学技術の最新・最先端情報を海外の研究者向けに発信する事を目的としたポータルサイト「Steel Science Potal」の機能強化を推進してまいります。


昨年、日本鉄鋼協会は創立100周年を迎えることができました。今年は、次の100年に向けてのスタートの年でもあります。このような大きな節目に会長として責務を果たすのは、身の引き締まる思いではありますが、会員の皆様のご協力・ご尽力がなければ、何もできません。どうか、会員の皆様の多大なるご支援・ご協力を賜りますよう切にお願い申し上げます。

 
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