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会長メッセージ

会長就任にあたって

田中 敏宏 大阪大学 工学部長 大学院工学研究科長 教授

この度、第54代日本鉄鋼協会会長に選任されました田中敏宏です。大変光栄であると共に、歴史ある本協会の会長職の重責を強く感じております。

1915年に設立された日本鉄鋼協会は、100年以上に渡り、我が国および世界の鉄鋼研究・技術ならびに関連する科学技術の発展に、さらには人材の育成に大きく寄与してまいりました。私自身も、学生時代から本会の講演大会・各種研究会など、様々な行事に参加させていただき、多くの先生方、諸先輩、企業の皆様、さらには若い世代の方々と共に研究活動や事業企画などを通じて、多くのことを学ばせていただきました。微力ではありますが、会員の皆様方とともに、伝統ある本会の発展に尽力したいと存じます。

日本の鉄鋼業は、優れた生産技術を駆使して、付加価値の高い鋼を市場に送り出し、我が国の経済発展を担ってきましたが、昨今の新興国の技術力の向上はすさまじく、我が国の優位性を保つためには新たな対応が種々求められています。地球規模においても様々な課題を抱えている中で、安全・安心な社会の持続的発展を可能にし、さらには世界のエネルギー・環境問題にも貢献するためには、社会基盤材料である鉄鋼およびその周辺の科学技術の推進を産官学の連携のもとに加速させることが大切です。このような状況の中において、鉄鋼研究者・技術者の役割は今後ますます重要となり、また日本鉄鋼協会が果たすべき使命も大きいものであると思っております。

日本鉄鋼協会は、「学理と実業の結合」を基本思想に設立されて以来、産学一体となって鉄鋼技術の発展・強化に努めてきました。昨今、大学におきましても産学連携がこれまで以上に話題になっておりますが、本会は設立当初からその機軸がぶれることなく、鉄鋼技術分野において、産学連携が推進されてきたと思います。産と学が互いに良好な意思疎通を保ち、それぞれの強みを活かした活動が数多くなされてきました。今後は未来世代の持続的発展に寄与できるように、当初からの基本思想をより一層大切にし、世界最先端を走り続ける日本鉄鋼業界を学術・技術面から支えてまいります。

学会としての日本鉄鋼協会の基本活動である講演大会の開催、論文誌の発行は重要な活動のひとつです。特に欧文誌「ISIJ International」の国際的知名度の向上は良好に続いており、投稿数の伸張とともに、論文誌としてのインパクトファクター(文献引用影響率)も1.0を超えるなど質の高い学術論文の投稿が続いています。3年前に創刊100号を迎えた和文誌「鉄と鋼」のさらなる充実化が課題ではありますが、鉄鋼分野の貴重な技術情報源としての役割を大切にして、維持発展へ努めたいと思います。未来世代の鉄鋼研究者・技術者の育成は、本協会の大きなミッションのひとつです。特に上述の地球規模の諸課題へ果敢に挑戦できる人材育成において、社会基盤材料である鉄鋼材料分野を軸とする人材の長期的視点に立った育成は日本鉄鋼協会が担うべき最重要な課題であると思います。大学において材料系分野で学ぶ若い世代のみならず、多くの分野の人々を結集できる場を日本鉄鋼協会が整え、大学卒業後も長期にわたって人材が育つ場を支える仕組みつくりを担っていきたいと思います。そのためにも、「修士学生向け鉄鋼工学概論セミナー」、「企業経営幹部による大学特別講義」など学生向け事業をさらに充実させ、また企業技術者の育成カリキュラムであり、昨今は各企業の教育システムの一環としても定着してきた「鉄鋼工学セミナーおよび同専科」、「アドバンストセミナー」においても、最新の学術・技術情報をプログラムの中に適切に反映させて、企業ニーズに則した内容への充実を図ります。

鉄鋼の学術・技術のさらなる活性化に向け、学会部門と生産技術部門の連携を強化するとともに、それぞれの部門において、技術シーズ・ニーズの融合を各種部会や研究会において高めるとともに、他の学協会や関連省庁との連携も積極的に進めてまいります。その結果として、今後も新たな大型プロジェクトの提案者となるべく、それらのプロジェクトのシーズ・ニーズ発掘の場としての環境をより一層充実したいと思っています。さらに、情報発信源としての本協会の役割も極めて大切であり、前述の学会誌の発行のみならず、国際会議等の国際的な規模での活動への参画も推進したいと思います。

以上のように、日本鉄鋼協会の更なる発展に努めてまいりますので、会員の皆様の多大なるご支援・ご協力を賜りますよう何卒宜しくお願い申し上げます。

 
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