「次世代鉄鋼業のあるべき姿を具現化するシステム技術」を主課題として、「データに基づく鉄鋼システムモデリング技術」を中心に、新技術の最新動向を調査するとともに、より具体化した手法を提案するための活動を推進しております。

本シンポジウムでは、「知識獲得、最適設計およびデータ活用の最新動向」と題して、知識獲得、最適設計、データ活用に関して、適用事例も含めた講演と議論を企画しました。皆様多数のご参加をお待ちしております。

対話型進化計算は、最適化評価が自動計測できないタスクの場合、人間の知識、経験、好み、感性等の総合的な主観評価に基づいて進化計算に最適化を行わせる技術である。このような応用は、アート応用、信号処理、ロボット、データマイニング、ICT、その他幅広い分野に応用可能である。

本講演では、初めに、このような人間を最適化ループに組み込む設計の必要性を述べ、続いて、幅広い最適化・知識獲得の応用事例を紹介する。

最適化はシステムの設計・計画・運用・制御に重要な役割を果たす。対象システムには、事前には正確な値がわからない要素や時間経過とともに変動する要素が含まれることも多く、これら不確かさや時間変動への対応が課題となる。また、対象の良さの評価尺度も一般に複数あり、これらの適切なトレードオフも課題である。これらに関する講演者のグループの研究の一端を紹介し、その適用対象例として、電気エネルギーマネジメント（計画・運用）関連への適用例を示す。

大規模なプラントを安全に運転するために、様々な異常診断手法が開発されて実プラントへ応用されている。各診断手法は適用範囲や精度などの特性が異なっているため、複数の診断手法を組み合わせて総合的な診断結果を得ることにより、診断システム全体の適用範囲の拡大や精度向上が期待される。

本研究では異なる異常診断手法をコンピュータ化したエージェントベースの異常診断システムにおける診断結果の統合手法を検討している。ここでは、各々の診断エージェントは、診断結果とともに診断結果の正しさに対する自己評価値である確信度を出力する。そして、統合診断エージェントは診断エージェントの診断結果に対してあらかじめ学習しておいた信頼度を用いて診断結果を統合する。本手法の応用性に関して、診断エージェントは確率的に診断結果を与える前提の下で診断性能や確信度の与え方の特性を変化させ、総合診断結果の精度向上と診断エージェントの組み合わせに関する知見を得た。

進化計算は、数理計画法による解決が困難な問題を扱える強力な大域的最適化手法であり、新幹線や航空機の設計に利用されるなど多くの注目を集めている。本講演では、まず、デモを交えながら、進化計算の動作原理をわかりやすく解説する。次に、最新の研究成果として、100次元規模の高次元関数最適化のための自然進化戦略、10万都市規模の大規模巡回セールスマン問題のための遺伝アルゴリズムを紹介する。最後に、進化計算技術の今後について展望する。