第26回鉄鋼工学アドバンストセミナー（鉄鋼工学中堅技術者セミナー）受講者募集案内（申込締切日：2018年6月11日）

■開催案内

本セミナーは10～15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。


（1）少人数で討論主体：
	受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討議のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の提出は強要しない。

（2）次代に向けたテーマ：
	次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
（3）最高の講師陣：
	テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、将来に続く緊密な産学連携を意識し、大学若手研究者が講師として参加する。

第26回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。

1．

期　日
2018年11月5日（月）～7（水）　集合日時：11月5日（月）8:30

2．

会　場
セミナーハウス　クロス・ウェーブ船橋
（〒273-0005 千葉県船橋市本町 2-9-3）　電話：047-436-0111

3．

内　容
次項以降に示す

4．

募集コースおよび内容

コース共通	基本的時間割　　基調講演
製銑コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
製鋼コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義
圧延コース	テーマ／講師・アシスタント／宿題／講義

(注)	募集人員は、全コース合わせて30名程度です。応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。また、応募者が多数の場合は、お断りすることがあります。

5．

参加資格
以下の条件をすべて満たしている方。

（1）	日本鉄鋼協会正会員。
（2）	国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員日本の大学に属する若手教員。
（3）	鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
（4）	討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。

6．

費　用

イ）金額(税込)

受講料：108,000円
食事代： 13,000円（5食分）

※	宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ）をご覧下さい。

ロ）送金方法

受講者が決定次第、請求書をお送りしますので、8月20日（月）までにご送金下さい。
8月21日（火）以降に申込みの取り消しをされても返金できませんので、予めご了承下さい。

ハ）宿　　泊

宿泊につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。

7．

申込締切日
2018年6月11日（月）期日厳守

8．

申込方法
申込みは終了いたしました。

申込・問合せ先
(一社)日本鉄鋼協会　育成グループ　楢岡
〒103-0025　東京都中央区日本橋茅場町3-2-10　鉄鋼会館5階
電話　03-3669-5933　FAX.03-3669-5934　E-mail：educact@isij.or.jp

●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●

WG主査	齋藤　公児	(新日鐵住金(株) 技術開発本部フェロー)
WG委員	深田喜代志	(JFEスチール(株) スチール研究所製銑研究部部長)
	菊池　直樹	(JFEスチール(株) スチール研究所製鋼研究部部長)
	高町　恭行	(新日鐵住金(株) 技術開発本部プロセス研究所鋼圧一貫研究部上席主幹研究員)

■内　容

1．基調講演

題　目「鉄鋼原料需給の現状と今後の課題」
鉄鋼生産を支える、鉄鉱石、原料炭を中心とする鉄鋼原料需給は、中国経済の成長の鈍化、中国政府の過剰生産設備淘汰への取組み、コモディティ化の加速といった、様々な要因を背景に大きく取り巻く環境が変わってきています。これに加えて、供給側でも、優良資源が徐々に枯渇していく中、今後の品位動向に懸念が出て来ています。

このように、中長期的に、所要原料を安定的に確保していく上で、色々な課題が見えてきている状況を整理して、今そして今後何をしなければいけないのかといった点を考察してみたいと思います。

講　師　有友　晴彦（住友商事株式会社資源第二本部理事、資源第二本部長）

2．コース
（1）製銑コース

テーマ「製銑工程の省CO₂省エネルギー化に寄与する鉄鉱石資源の使用技術」
近年、世界的に鉄鋼技術力が上昇しており、日本の技術先進性を継続することが今後大きな課題となる。とりわけ、製銑プロセスは炭素源を多量使用しているため、省エネルギーのインパクトが強い。加えて、鉄鉱石資源の劣質化（Fe成分低下、SiO₂、Al₂O₃、P上昇）の課題もあり、ますますプロセスの高機能化・高効率化が求められる。

本セミナーでは、焼結プロセス、ペレットプロセス等の製銑事前処理プロセスをターゲットに、省CO₂省エネルギーに結びつく鉄鉱石資源の有効利用方法をご提案いただき、得られる成品（焼結鉱、ペレット等）の品質（被還元性、還元粉化性、歩留等）も考慮した上で、将来(10～15年後)の鉄鉱石使用技術の目指すべき姿、方向について議論する。


講　師	村上　太一	(東北大学大学院環境科学研究科先端環境創成学専攻資源分離･処理プロセス学分野准教授)
	松村　　勝	(新日鐵住金(株) 技術開発本部プロセス研究所製銑研究部上席主幹研究員)
	石原　真吾	(東北大学多元物質科学研究所助教)
○講義1	「焼結鉱の組織と被還元性」（村上講師）
○講義2	「焼結鉱強度および被還元性の両立を目指した焼結プロセス反応制御」（松村講師）
○講義3	「粒子法を用いた焼結プロセスシミュレーション」（石原講師）

○宿題：下記２段階でご検討ください。
	①プロセスの課題抽出受講生が携わっているプロセスを操業解析^註１して、エネルギー消費またはCO₂発生に関する技術課題を抽出してください。その際、可能であれば、他のプロセスと比較してください。 ②｢抜本的な省エネルギーを可能とする鉄鉱石処理プロセス｣提案上記①で抽出した課題を解決できる技術を提案してください。プロセスの改善技術でも新プロセス技術でも構いません。但し、いずれもリーマンショック前の増産期(2008年)の実績^註2を起点として提案技術の効果を明確に解析・考察してください。なお、改善技術の効果については下記について織り込んでください。 1)得られる成品（焼結鉱、ペレット等）の品質特に、①改善を目指す品質②悪化が懸念される品質を対象としてください 2)熱バランス・マテリアル収支について、現行プロセスと提案プロセスとの比較を通じて、エネルギー効率および／またはCO₂発生量変化の定量註１：自工場の実績でなくても、公知文献等を参考にした代表データでもよい註２：日本鉄鋼連盟作業調査票データ [キーワード] 鉄鉱石資源劣質化、CO₂問題、エネルギー効率、熱収支・物質収支、酸化還元、燃焼、成品品質 ※セミナー当日の課題報告はパワーポイントで行い、課題レポートの要点を明確に伝えられるよう構成すること。

（2）製鋼コース

テーマ「高品質鋼製造を可能とする次世代革新製鋼プロセス」
我が国の鉄鋼業が、世界で持続的に事業を発展させるためには、付加価値の高い高品質鋼を造り込み、かつ製造コストの低減と生産性の維持向上を両立する新たなプロセス確立が求められる。本セミナーでは、次世代（１０～２０年先）を見据えた製鋼工程のあるべき姿を構想し、高品質鋼製造プロセスの進むべき方向性とそれを実現するために必要なブレークスルー技術について議論することを目的とする。


講　師	樋口　善彦	(産業技術短期大学機械工学科教授)
	三宅　孝司	((株)神戸製鋼所技術開発センター製鋼開発部主任研究員)
	助永　壮平	(東北大学多元物質科学研究所材料分離プロセス研究分野助教)
○講義1	「高級鋼製造のための精錬プロセス」（樋口講師）
○講義2	「高級鋼製造に向けた鋳造技術」（三宅講師）
○講義3	「複雑な構造を有する鉄鋼関連酸化物の物性と構造」（助永講師）

○宿題：

最近の鉄鋼業を取り巻く環境や状況を踏まえ、それらを克服するための製鋼プロセスにおける課題と対応策を述べて下さい。下記の２項目（①、②）に対して、キーワードを参考に、現状の課題と革新的高品質鋼製造を可能とする製鋼プロセス・技術を提案してください。提案にあたっては、関連資料のレビュー、バウチャーを明らかにし、レポートに記載してください。

①	環境対応、省資源・省エネルギー化技術 [キーワード] 低二酸化炭素排出、スラグ再利用法、ニアネットシェイピング、安価原料活用技術
②	高生産性と高品質化を両立する技術 [キーワード] 高純度鋼精錬方法、高清浄鋼製造方法、高級鋼の作り込み技術、歩留まりアッププロセス制御、新センサー、データサイエンス、スラブ品質QA・QC技術

また①、②とは別に、産学連携の活性化を実現するための学側への要望、企業から学側への働き掛け、交流の方法について、意見・提案を述べてください。

※セミナー当日の課題報告はパワーポイントで、課題レポートの要点を明確に報告出来るよう構成すること。

（3）圧延コース

テーマ「薄板圧延における次世代の安定通板・寸法・材質作り込み技術を考える」
近年、世界の鉄鋼産業は過剰な生産設備を抱えると共に資源価格の高騰にも見舞われ、厳しい経営環境の中で熾烈な国際競争にさらされている。特に、薄板分野(熱延・冷延分野)においては薄手化・硬質化(ハイテン化)に伴う難製造材の増加が見込まれている。難製造材の寸法・材質作り込み技術の更なる高度化は勿論、難製造材を安定的にかつ高生産(含む製造コスト削減)を実現するための技術革新は必須の課題と考える。

一方、環境面ではCO₂削減のための鋼材の高強度軽量化や、省資源、省エネルギーも強く求められている。斯様な現状を踏まえ、薄板圧延の製造プロセスとして将来あるべき姿を考え、難製造材における安定通板・寸法・材質作り込み技術を含め、今後の日本のミルに求められる次世代製造プロセス技術について議論する。


講　師	柳田　　明	(東京電機大学工学部先端機械工学科教授)
	野口　浩嗣	(新日鐵住金(株) 大分製鐵所(大分地区) 薄板部上席主幹)
	葉佐井二朗	(プライメタルズテクノロジーズジャパン(株) プロジェクト統括部熱延プロジェクト部主幹技師)
	大家　哲朗	(慶應義塾大学理工学部システムデザイン工学科)
○講義1	「板圧延の数学・物理的モデリング」（柳田講師）
○講義2	「薄板の現状課題（素材・設備・制御）を踏まえての取組むべき次世代技術」（野口講師）
○講義3	「新設圧延設備における技術導入状況と薄板圧延の進展をささえる新技術」（葉佐井講師）
○講義4	「板材成形のための塑性モデルの高度化：破壊予測と数値材料試験」（大家講師）

○宿題：
自身が担当する薄板製造プロセスおよびその関連研究において、特に、難製造材の寸法・材質作り込み技術の更なる高度化は勿論、難製造材を安定的にかつ高生産(含む製造コスト削減)を実現するための技術課題を求められた際に、どこに課題が有るかを整理し、その解決に必要なプロセス技術について文献等を参考に考察して下さい。更に，国際競争力を確保するために，自身が考える理想的な薄板プロセスあるいはその一部を成す要素技術について、既成観念に捉われずに発想し、提案して下さい。

[キーワード]
薄板(熱延・冷延)圧延、難製造材(ハイテン材、薄物)、高生産構造(稼働率、作業率)、材質制御、寸法制御、設備技術、プロセス制御技術、センサー利用技術、数値シミュレーション、データ活用(ビッグデータ,IoT,AI)

※課題報告はパワーポイントで行い、レポート要点を明確に伝えられるよう構成すること。