第31回鉄鋼工学アドバンストセミナー 受講者募集案内
(鉄鋼工学中堅技術者育成セミナー)

開催案内
本セミナーは10~15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。
(1)少人数で討論主体:
受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討議のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の供出は強要しない。
(2)次代に向けたテーマ:
次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
(3)最高の講師陣:
テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、将来に続く緊密な産学連携を意識し、大学若手研究者が講師として参加する。

第31回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。
なお、本セミナーはガイドライン等に準じた感染対策を実施の上、対面で開催いたします。感染状況によっては、開催を中止する場合もあります。

1.期日:
2023年10月23日(月)~25日(水)
集合日時:10月23日(月)8:30
2.会場:
セミナーハウス クロス・ウェーブ船橋
(〒273-0005 千葉県船橋市本町 2-9-3 TEL.047-436-0111)
3.内容:
次項以降に示す
4.募集コースおよび内容(プログラムの講義、討論の時間配分は変動することがあります):
製銑コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
製鋼コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
圧延コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
コース共通
基調講演

(注)募集人員は、各コース約10名、全コース合わせて30名程度です。
応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。
また、応募者が多数の場合はお断りすることがあります。

5.参加資格:
以下の条件をすべて満たしている方。
  1. 日本鉄鋼協会正会員。
  2. 国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員。
    国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員。
    日本の大学に属する若手教員。
  3. 鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
  4. 討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。
    本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。
6.費用(税込):
イ)金額:
受講料  110,000円
食事代  13,200円 (5食分)
※宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ)をご覧下さい。
ロ)請求:
請求書は開催終了後に送付します。
開催1ヵ月前の2023年9月23日(土)以降に申込の取り消しをされた場合、開催終了後に請求(全額)いたします。
ハ)宿泊:
宿泊につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。
なお、受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。
7.申込締切日:
2023年6月15日(木)期日厳守2023年6月30日(金)
8.申込方法:申込みは終了いたしました。
問合わせ先:
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
E-mail:educact@isij.or.jp
●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●
WG主査
木村世意(㈱神戸製鋼所 鉄鋼アルミ事業部門 技術開発センター 製鋼開発部 部長)
WG委員
坂本 充(㈱神戸製鋼所 鉄鋼アルミ事業部門 技術開発センター 製銑開発部 部長)
梶谷敏之(日本製鉄㈱ 技術開発本部 プロセス研究所 製鋼研究部 部長)
藤田昇輝(JFEスチール㈱ スチール研究所 圧延加工プロセス研究部 主任研究員)

内容

1. コース

(1)製銑コース

テーマ「高炉を含む製銑プロセスの限界点と制約条件」

2050年カーボンニュートラル実現に向けた検討が国内各社で進められている。世界的なカーボンニュートラル製鉄への潮流の中で、他国に先んじた日本独自の取り組みや新技術開発が求められている。そこで、今後の我が国の製銑工程(高炉や直接還元法を含む)のCO2削減の方向性を検討するため、原理原則論から導かれる限界点や、資源劣質化等の取り巻く背景から派生する制約条件や製鋼プロセスも含めた一貫最適化のための条件等を明らかにする。その上で、今後の高炉を含む製銑プロセスの将来像について討議し、実現に向けて解決すべき課題とアプローチについて議論する。

講師
植田 滋(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
植木保昭(名古屋大学 未来材料・システム研究所 システム創成部門 准教授)
村尾明紀(JFEスチール㈱ スチール研究所 製銑研究部 主任研究員)

講義-1「高炉製銑プロセスにおける限界操業とその実践」(村尾講師)
講義-2「製銑プロセスへの木質バイオマスの有効利用」(植木講師)
講義-3「カーボンニュートラルに向けたプロセス学」(植田講師)

宿題
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、原理原則論から導かれる製銑工程(高炉や直接還元法を含む)の限界点や、資源劣質化等の取り巻く背景から来る制約条件や製鋼プロセスも含めた一貫最適化のための条件等を考察して、「あなたが理想と考える高炉を含む製銑プロセスの将来像」について説明して下さい。レポートには、キーワードを参考に、現状をもとに、将来の課題と将来課題解決に対応する理想像(プロセス)を根拠とともに提案して下さい。提案にあたっては、極力客観的な関連資料のレビューを実施し、根拠となる出典(文献、参照URLなど)は、レポートに記載して下さい。
[キーワード]カーボンニュートラル、省CO2、資源劣質化、等

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

(2)製鋼コース

テーマ「地球環境問題を見据えた高級鋼鋳造プロセスの課題」

我が国の鉄鋼業が、持続的に事業を発展させるためには、カーボンニュートラルへの挑戦とともに高付加価値の高級鋼を製造するプロセスの確立が必要である。そこで本セミナーでは、次世代(10~20年先)を見据えた製鋼・鋳造工程のあるべき姿について、原理原則を踏まえ、また多様な視点から検討し、高品質鋼鋳造プロセスの進むべき方向性とそれを実現するために必要なブレークスルー技術について議論することを目的とする。

講師
原田 寛(名古屋大学 大学院工学研究科 材料デザイン工学専攻 教授)
植田 滋(東北大学 多元物質科学研究所 教授)
大野浩之(JFEスチール㈱ スチール研究所 製鋼研究部 主任研究員)

講義-1「環境調和型鋼材製造における鋳造プロセスが果たす役割」(原田講師)
講義-2「カーボンニュートラルに向けたプロセス学」(植田講師)
講義-3「高級鋼製造のための鋳造技術の開発」(大野講師)

宿題
最近のカーボンニュートラルや我が国の鉄鋼業を取り巻く環境や状況を踏まえ、鋳造プロセスにおける10~20年先の課題を、下記の2項目(①、②)に対するキーワードを参考に想定し、高品質鋼鋳造を可能とする製鋼・鋳造プロセス技術に関する関連資料をレビューし(バウチャーを明確に)、対応策について述べてください。

①高生産性と高品質化を両立する技術
[キーワード]高清浄鋼製造方法、鋳片品質向上技術、高級鋼の一貫製造技術、プロセス制御、データ活用、数値シミュレーション

②地球環境と調和する製鋼プロセス
[キーワード]脱炭素、エミッションフリー、スクラップ、高炉―転炉法、電気炉法

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

(3)圧延コース

テーマ「次世代の線条・棒鋼圧延プロセス技術とその課題」

日本では革新的な独自技術を開発し世界をリードしてきたが、商品ニーズの多様化や国際的な環境変化などに対応して取り組むべき課題も多い。棒鋼・線材も例外ではなく、高強度・軽量化や、省資源、省エネルギー化が急速に進展し、材質・寸法・表面品質など競争力の高い製品の作りこみ技術が求められている。また、環境面では、海外の新設ミルとの競争も激化しており、抜本的な低コスト製造プロセスも求められてくる。このような背景を踏まえ、線条・棒鋼の次世代プロセス技術として、将来のあるべき姿を考え、今後求められるイノベーティブな技術について議論する。

講師
小森和武(大同大学 工学部 機械システム工学科 教授)
串田 仁(㈱神戸製鋼所 技術開発本部 材料研究所 専門部長)
清田 敦(東芝三菱電機産業システム㈱ 産業第二システム事業部 システム技術第一部 重工システム技術第四課 技術主任)
小川登志男(愛知工業大学 工学部 機械学科 准教授)

講義-1「棒・線圧延の理論と実際」(小森講師)
講義-2「棒鋼・線材の圧延プロセスの現状と課題」(串田講師)
講義-3「棒・線圧延設備、制御システムの最新動向」(清田講師)
講義-4「実験、シミュレーション、データサイエンスの連係による統合型材料デザインの構築」(小川講師)

宿題
自身が担当する線条・棒鋼製造プロセスおよびその関連研究において、将来にわたりグローバル競争を 勝ち抜くための高付加価値商品(強度、内質・表面性状、寸法精度など)の製造、または格段の製造コスト低減(省合金、省エネルギー、チャンスフリー圧延ほか)に向けて、
  • ①既存装置・技術で製造ネックとなる要因や課題を分析、整理してください。
  • ②①の課題を解決する要素技術について、国内外の文献等を参考に対応策を考察してください。
  • ③更に、持続可能な社会の実現に貢献する線条・棒鋼製造プロセスおよびそれらの要素技術について、既成概念に捉われない自由なアイディアを提案すると共に、それらプロセスにより生産される製品群がどのような新しい付加価値を生み出すかについて発想してください。

[キーワード]圧延、材料設計、加工熱処理、高生産性(稼働率、作業率)、寸法制御、設備技術、プロセス制御技術、センサー利用技術、数値シミュレーション、データ活用、カーボンニュートラル、省エネ

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

2. 基調講演

題目「カーボンニュートラル社会実現のためのゼロカーボン製鉄を目指した展望」

カーボンニュートラル社会実現のためには、我が国のCO2排出量の約14%を担う鉄鋼産業の寄与が不可欠である。製銑、製鋼、加工と工程ごとの寄与度は異なるが、スクラップ鉄を主要な鉄源と考えての製鋼プロセスの再構築は焦眉の急である。世界のエネルギー事情、製鉄展開を見越しつつ、我が国の製鋼技術によるリードを図るための課題と取り組みを展望する。

講師 小林能直(東京工業大学 科学技術創成研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所 教授、副所長)