第247・248回西山記念技術講座
「サステナブルな社会を支える高機能厚板の技術進展と将来展望」

講座の視点

2000年代以降、カーボンニュートラル社会実現に向けた地球規模での環境課題克服への取り組みや、持続的なグローバル経済の発展、巨大災害への備えとしての国土強靭化の推進など、社会環境は変化を続けている。社会基盤を支える各種鋼構造物は大型化、高機能化しており、これに利用される各種の高性能厚板やその利用技術は発展を遂げてきた。
本講座では、過去約20年間で、造船、インフラ、エネルギー分野など、重要な社会基盤の鋼構造物建造を実用化するために開発された厚鋼板およびその利用技術に関する技術進展を概説するとともに、脱炭素社会への貢献など、社会の持続的発展に将来寄与することが期待される厚板分野の将来展望を紹介する。
協賛(50音順)
(公社)応用物理学会、(公社)化学工学会、(公社)計測自動制御学会、(一社)資源・素材学会、(一社)電気学会、(一社)特殊鋼倶楽部、(公社)土木学会、(一社)日本機械学会、(公社)日本技術士会、(公社)日本金属学会、(一社)日本建築学会、(一社)日本鋼構造協会、(公社)日本材料学会、(公社)日本船舶海洋工学会、(一社)日本塑性加工学会、日本中性子科学会、(一社)日本熱処理技術協会、(公社)日本分析化学会、(一社)表面技術協会、(公社)腐食防食学会、物質・材料研究機構、(一社)溶接学会
1.日時・場所
第247回(大阪):2023年5月24日(水)9:30~16:45(受付時間:9:00~15:45)
【対面開催】CIVI研修センター新大阪東 7階E705会議室(大阪市東淀川区東中島1-19-4 LUCID SQUARE SHIN-OSAKA)
第248回(東京):2023年6月6日(火)9:30~16:45(受付時間:9:00~15:45)
【ハイブリッド開催】鉄鋼会館 会議室(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)※Cisco Webex Meetingsを使用

Web聴講者マニュアル0529

*今後の感染状況によっては、6月6日をオンライン開催とし、6月6日のみとなる場合がございます。
あらかじめ、ご了承下さい。その場合、5月24日の参加申込は自動的に6月6日に振替となります。
ご了解の上、お申込み下さい。
2.講演題目及び講演者、司会者

司会者:重里 元一(日本製鉄(株))

1) 9:30~10:30
厚鋼板の高強度化のための微細組織制御

東北大学 金属材料研究所 教授 古原 忠

2) 10:30~11:30
アーク溶接技術の進歩

(株)神戸製鋼所 溶接事業部門 技術センター溶接開発部 上席研究員 佐藤 統宣

3) 12:30~13:30
造船、インフラ分野における高性能厚板の開発動向

JFEスチール(株) 常務執行役員 スチール研究所 副所長 長谷 和邦

司会者:髙木 周作(JFEスチール(株))

4) 13:30~14:30
エネルギー分野を支える高機能厚鋼板の技術動向

日本製鉄(株) 技術開発本部 鉄鋼研究所 接合研究部 室長 加茂 孝浩

5) 14:45~15:45
衝突による船舶からの油流出事故防止に関する研究と耐衝突性能向上のための高延性厚鋼板の実用化

(国研)海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所 海難事故解析センター センター長 山田 安平

6) 15:45~16:45
水素機器用鋼材の技術基準

東京大学 生産技術研究所 教授 吉川 暢宏

3.講演内容
1)厚鋼板の高強度化のための微細組織制御
古原 忠
低合金低炭素鋼を基本とする厚鋼板の高強度化・高靱性化の追求は、社会インフラなどを支える大型鋼構造物の高機能化において必須である。高強度厚鋼板の組織と特性の制御では、熱間加工と制御冷却を組み合わせた加工熱処理による相変態組織の微細化が必須である。本講座では、組織微細化の鍵であるオーステナイト母相組織および冷却時の各種相変態組織の制御に関する基本原理について述べるとともに、マイクロアロイングや介在物制御による微細化についても概説する。
2)アーク溶接技術の進歩
佐藤 統宣
アーク溶接が発明されて約120年経過している。その間に、様々な溶接方法、溶接材料、溶接機器等が開発・適用され、造船、建築、エネルギー等の生活基盤を支える鋼構造物や自動車を始めとする輸送機器等にも広く活用されている。また、適用分野・箇所は多岐に亘っており、それぞれに合わせて技術的進歩を重ね、今日でも欠かせない技術の一つとなっている。本講座では、現在でも広く使われている各溶接材料での鋼種や施工法における最新技術と、溶接材料と組合せる溶接プロセス、中厚板用溶接ロボットの最新技術等を適用事例と併せて紹介していく。
3)造船、インフラ分野における高性能厚板の開発動向
長谷 和邦
社会を取り巻く環境変化は大きく、21世紀の社会基盤を支える厚板に対しても、益々高度で複雑な品質、性能が要求されるようになってきた。これに対して、各厚板メーカーは、高強度厚肉化のみならず、破壊・疲労安全性や耐食性、溶接部等の加工性向上を達成するべく、日々、更なる高機能化に向けた技術開発に取り組んでいる。
本講座では、前回2007年の西山記念技術講座厚板特集以降に開発、実用化された厚板商品や厚板利用技術のうち、特に、造船、土木建築および橋梁分野における社会環境変化と、注目すべき厚板および利用技術の開発事例について紹介する。
4)エネルギー分野を支える高機能厚鋼板の技術動向
加茂 孝浩
エネルギーの安定確保は、安全保障の観点で益々重要な課題である。また、脱炭素化の潮流において、化石燃料から代替エネルギーへの転換に向けた技術開発が盛んである。すなわち、環境負荷が比較的小さい天然ガスや、洋上風力発電等の再生可能エネルギー、次世代エネルギーとしての水素やアンモニアなど、様々なエネルギー源の利用拡大に向けた検討が進んでいる。エネルギーの輸送・貯蔵技術の進展において鋼材が果たす役割は大きく、高効率化や低コスト化,安全性向上を実現すべく様々な高機能鋼板が開発・実用化されている。本講座では、エネルギー分野を支える高機能鋼板の技術動向について紹介する。
5)衝突による船舶からの油流出事故防止に関する研究と耐衝突性能向上のための高延性厚鋼板の実用化
山田 安平
海洋環境汚染防止の観点から、船舶、とりわけ、油タンカーからの大規模油流出事故防止は重要な課題の1つである。エクソン・バルディス号の事故を契機に、タンカーには、二重船殻(ダブル・ハル)が強制化されたが、その後も油流出事故は後を絶たない。船舶からの油流出事故防止に関する研究の歴史を概説すると共に、ダブル・ハル強制化後の国際海事機関(IMO)における油流出防止規制に関する議論を簡単にご紹介する。近年、我が国で開発し、実船適用されている新材料「高延性鋼」と、その開発過程での非線形シミュレーション結果、実験結果等について、ご紹介する。また、当該鋼材「高延性鋼」の実船適用状況、船級承認・Class Notation(船級符号)付与、「先進船舶」としての政府の減税措置、入港料減免制度との関係についても、概要をご紹介する。
6) 水素機器用鋼材の技術基準
吉川 暢宏
カーボンニュートラルの実現に向かい、エネルギー媒体としての水素利用が推進されつつある。金属材料の水素脆化の問題は古くから認識されており、劣化の程度を適切に評価し安全に鋼材を利用するための技術開発も進められてきた。2050年のカーボンニュートラルに向けては、超高圧あるいは液化された水素を大量に流通させることを想定しており、安全と安心を確保するための技術的要求の質が大きく変化したといえる。本講演では、超高圧水素を貯蔵する水素スタンド用蓄圧器と大量の液化水素を貯蔵する平底円筒型貯槽の技術基準において、鋼材に要求されている信頼性確保の方策を解説する。
4.参加申込み
[申込方法]
Webからの申込み受付は終了致しました。参加をご希望される方は下記問合せ先までご連絡をお願い致します。
なお、開催直前のお申込みの場合、当日までにテキストがお手元に届かない場合もございます旨、ご了承ください。

第247回(5月24日):会場の収容人数の関係上、定員になり次第締切とします。
第248回(6月 6日):会場での参加者は、収容人数の関係上、定員になり次第締切とします。
          オンラインでの参加者は、人数制限は行いません。


[支払い方法]
①クレジットカードのオンライン決済 または、②郵便振替 のいずれかの方法で、事前の入金をお願いします。
※請求書の発行は致しません。
[締め切り]
申込、入金ともに4月25日(火)までに完了するようお願いします。→5/7(日)まで延長しました。
  • ※入金の確認後、開催約1週間前にテキストと領収証を送付します。
  • ※ご入金後の返金および当日不参加の場合の返金はいたしませんので、ご了承下さい。
  • ※オンライン受講についての詳細は後日掲載します。
5.参加費(税込み、テキスト付)
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円
注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。
*非会員でご参加の方で希望される方には、下記会員資格を進呈します。(入会方法は別途ご案内いたします。)
・一般(15,000円)で参加 ⇒ 2023年12月までの準会員資格
・学生一般(2,000円)で参加 ⇒ 2023年12月までの学生会員資格

★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。
テキスト購入のお申込みは、出版図書案内 をご覧下さい。

問合せ先:(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
E-mail: educact@isij.or.jp

会場案内

大阪会場 5/24(水)
大阪会場の地図

CIVI研修センター新大阪東 7階E705会議室
(大阪市東淀川区東中島1-19-4  LUCID SQUARE SHIN-OSAKA)
 JR線:「新大阪駅」駅下車 東口から50m
 地下鉄:御堂筋線「新大阪駅」駅から徒歩5分
 http://www.civi-c.co.jp/access.html

東京会場 6/6(火)
東京会場の地図

鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR線:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
    日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/4/

※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。