2024年度事業報告・収支決算(2024.3.1~2025.2.28)
収支決算(PDF)
2025年4月24日に開催された一般社団法人日本鉄鋼協会定時社員総会において、標記報告等が承認されました。以下にその概要をお知らせします。
2024年度一般社団法人日本鉄鋼協会事業報告・収支決算(2024.3.1~2025.2.28)
2024年度は第4期中期計画の3年目の年であり、次のとおり事業活動を展開した。
1.協会基本活動の活性化
会員数、講演大会発表件数、論文誌への投稿論文数の増大を協会の基本活動として重点を置き実施した。各事業をコロナ禍前の活動水準に回復させ、加えて、第4期中期計画における新規事業、新たな個人会員数増加対策等も進めたが、個人会員数、講演大会発表件数、投稿論文数は、コロナ禍前には戻っていない。
- 2025年2月末時点で、個人会員総数8,003名(前年2月末7,962名)、うち正会員6,477名(前年6,500名)、準会員910名(前年868名)、学生会員408名(前年386名)、外国会員109名(前年110名)、維持会員169社(前年168社)となった。コロナ禍に比べ回復してきたが、2024年に入り、頭打ち傾向が見られる。
- 2024年度の春季講演大会は東京理科大学で、秋季講演大会は大阪大学で開催した。講演大会での研究発表件数については、一般講演・予告S・共同Sは春季229件、秋季244件、討論会は春季3テーマ22件、秋季6テーマ40件であった。参加者数は、春季1,046名、秋季1,085名であった。また学生ポスターセッションの発表は、春季83件、秋季78件であった。
- 論文の状況は、1~12月の合計で、投稿論文数は「鉄と鋼」147件(前年113件)、「ISIJ Int.」367件(前年415件)であった。同様に掲載論文数は「鉄と鋼」127件(前年89件)、「ISIJ Int.」242件(前年230件)であった。2021年度より交付を受けている科研費「国際情報発信強化」事業の遂行、制作期間短縮策の継続推進等を行った。
2.鉄鋼の学術・技術の活性化(研究会I、II、鉄鋼協会研究プロジェクト、鉄鋼研究振興助成、鉄鋼カーボンニュートラル研究助成等)
- 新規研究として、研究会Iは「高水素高炉用焼結鉱の製造と特性評価」、「鉄鋼に関わるサプライチェーンマネジメント」、「エネルギーチェーンのシステミック最適化」の3件、研究会Ⅱは「鉄鋼スラグ中Mnの存在形態解析」、「アークによるスクラップ伝熱・溶解機構」、「圧延の不均一な弾塑性変形現象の解明」の3件を開始した。鉄鋼協会研究プロジェクトは「伸線パーライト鋼の特異ラメラ組織発達機構」の1件を開始した。継続研究として、研究会Ⅰは10件、研究会Ⅱは2件、鉄鋼協会研究プロジェクトは2件を実施した。
- 鉄鋼研究振興助成については、2024年度開始テーマとして34件について助成を行った。
- 2022年度から開始した鉄鋼カーボンニュートラル研究助成については、2024年度開始テーマとして15件について助成を行った。
3.人材育成
- 学生育成事業として、企業経営幹部による大学特別講義を9大学、専務理事による鉄鋼技術特別講義を13大学で実施した。修士・博士向けの学生鉄鋼セミナー3コース(37名参加)、修士向け鉄鋼工学概論セミナー(28名参加)、学部学生向け最先端鉄鋼体験セミナー3製鉄所(56名参加)を実施した。製鉄所見学事業(交通費支給)は、対象を大学学部から高校、高専及び大学全部(大学院を含む)に拡大し、22回(615名参加)実施した。
- 企業人材育成事業は、鉄鋼工学セミナーを那須(165名参加)で、鉄鋼工学セミナー専科は6テーマ(3テーマ対面、1テーマ・ハイブリッド、2テーマWeb)(78名参加)、鉄鋼工学アドバンストセミナーを船橋(23名参加)で実施した。
- 西山記念技術講座は、「今後激変することが予想される鉄源の確保に向けて」を大阪(61名参加)と東京(ハイブリッド、172名参加)で、「最新シミュレーション技術の進歩と鉄鋼業への展開」を大阪(19名参加)と東京(ハイブリッド、48名参加)で開催した。白石記念講座は、「データ駆動型材料開発の最前線とその適用例」を東京(ハイブリッド、72名参加)で開催した。
- 2022年度開始育成事業として、①製鉄所見学交通費支給を高校生・高専生向けに拡充(上記1)参照)、②高校・高専への大学教員出張授業の助成(3校、94名)、③動画教材(高校生・高専生向け動画教材、動画ライブラリー)の完成・HP公開・Blu-ray/DVD無償提供等、④会員向けWeb講演会(鉄鋼協会Web講演会(3回、798名)、Web講演会~鉄鋼技術最前線シリーズ~(4回、1,511名)、Web講座~入門講座シリーズ~(オンデマンド配信27件))を実施した。
- JABEE技術者教育プログラム認定制度における「材料および関連の工学分野」の幹事学会として、本分野の中心となって活動した。
4.学会部門及び生産技術部門における研究調査活動
- 学会部門の6学術部会においては、各運営委員会(各3回/年)、研究会(上記2.1)参照)、フォーラム(計43)等、生産技術部門の19技術部会においては部会大会(各1~2回/年)や技術検討会等を実施した。
5.戦略・連携強化
- 日本金属学会と上記1.2)の講演大会を同じ日程・場所で開催し、その中で共同セッションを実施した。
- 日本鉄鋼連盟、鐵鋼スラグ協会、日本鋼構造協会、鉄鋼環境基金と「鉄鋼関連助成事業連絡会」を開催した。
- 鉄鋼カーボンニュートラル検討会議において、2025年度の鉄鋼カーボンニュートラル研究助成受給課題の選考、2022年度、2023年度採択の鉄鋼カーボンニュートラル研究助成受給課題の評価、4WG(水素以外の還元方法に関する討議、異業種連携、鉄スクラップ有効利用、鉄鋼CNと経済成長評価)の検討・活動、関連国際会議への参加・情報発信及び海外動向の情報収集、今後の進め方検討等を実施した。
6.内外への情報発信力の強化
- 本会Webサイトについて、アクセス統計解析、会報誌「ふぇらむ」のダウンロード数等に基づき本会会員が求める情報提供の検討を進めた。
- 第16回日本中国鉄鋼学術会議、第7回国際鉄鋼科学シンポジウム(ISSS2024)、第2回地球環境のための炭素の究極利用技術に関するシンポジウム(CUUTE-2)を開催した。