第30回鉄鋼工学アドバンストセミナー受講者募集案内
(鉄鋼工学中堅技術者育成セミナー)

開催案内
本セミナーは10~15年の実務経験を持つ中堅技術者を対象とし、次代の鉄鋼業の担い手を育成することを目的としています。各コースとも、他社の技術者とのディスカッションを主体に、既得の知識を存分に活用しながら各自の技術思想の整理・再構築を図ることに主眼を置いた、実践的コースで構成されております。
(1)少人数で討論主体:
受講者は予め提示された宿題に対する解答を用意し、本セミナーで相互にこれを発表した後、問題点を抽出して徹底的な討論を行う。尚、宿題、討議のいずれにおいても受講者所属組織の秘密情報の供出は強要しない。
(2)次代に向けたテーマ:
次代の鉄鋼業に向けた課題をテーマとして選択する。答えを出すことが目的ではない。
(3)最高の講師陣:
テーマに対する最高の専門家を講師として迎え、これら講師が関連する講義を担当しWG委員とともに討論の指導を行う。また、将来に続く緊密な産学連携を意識し、大学若手研究者が講師として参加する。

第30回を下記のとおり開催いたしますので、奮って受講下さるようご案内いたします。
なお、本セミナーは新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン等に準じた感染対策を実施の上、対面で開催いたします。
感染状況によっては、開催を中止する場合もあります。

1.期日:
2022年10月24日(月)~26日(水)
集合日時:10月24日(月)8:30
2.会場:
セミナーハウス クロス・ウェーブ船橋
(〒273-0005 千葉県船橋市本町 2-9-3 TEL.047-436-0111)
3.内容:
次項以降に示す
4.募集コースおよび内容(プログラムの講義、討論の時間配分は変動することがあります):
製銑コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
製鋼コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
圧延コース
テーマ/宿題/講義  プログラム
コース共通
基調講演

(注)募集人員は、各コース約10名、全コース合わせて30名程度です。
応募者がきわめて少ない場合は、そのコースの実施を中止することがあります。
また、応募者が多数の場合はお断りすることがあります。

5.参加資格:
以下の条件をすべて満たしている方。
  1. 日本鉄鋼協会正会員。
  2. 国内に生産拠点を有する維持会員企業に属する企業社員。
    国内に生産拠点を有する維持会員企業の推薦を受けた企業社員。
    日本の大学に属する若手教員。
  3. 鉄鋼工学セミナー、同専科修了者または同等以上の経験・能力を有する方。
  4. 討論主体の本セミナーで積極的に発言できる方。
    本セミナーは知識を吸収する場ではなく、各々の知識を以て討論する場です。
6.費用(税込):
イ)金額:
受講料  110,000円
食事代  13,200円 (5食分)
※宿泊料及び朝食代は含まれておりません。宿泊につきましては、ハ)をご覧下さい。
ロ)請求:
請求書は開催終了後に送付します。
開催1ヵ月前の2022年9月24日(土)以降に申込の取り消しをされた場合、開催終了後に請求(全額)いたします。
ハ)宿泊:
宿泊につきましては、受講者が決定次第、併せてご案内いたします。
なお、受講者各位でお申し込みいただき、料金をお支払いいただく形式となりますので、予めご了承下さい。
7.申込締切日:
2022年6月10日(金)期日厳守 →6月24日(金)に延長しました。
8.申込方法:申込みは終了いたしました。
問合わせ先:
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ
E-mail:educact@isij.or.jp
●育成委員会鉄鋼工学アドバンストセミナーWG●
WG主査
三木 祐司(JFEスチール(株) スチール研究所 主席研究員)
WG委員
樋口 謙一(日本製鉄(株)技術開発本部 プロセス研究所 製銑研究部長)
木村 世意((株)神戸製鋼所 鉄鋼アルミ事業部門 技術開発センター 製鋼開発部 部長)
藤井 康之((株)神戸製鋼所 技術開発本部 材料研究所 加工技術研究室 主任研究員)

内容

1. コース

(1)製銑コース

テーマ「国内高炉(鉄源)プロセスの将来像」

国内高炉プロセスは、将来、国内人口変化を含む大きな社会構造変化が予測される中、国内で持続可能な発展を続けるため、資源劣質化対応、地球環境対応(省CO2)、高効率・高生産性といった種々の課題が具体的かつ現実的となってきている。本セミナーでは、鉄鋼業を取り巻く環境や今後の種々の制約条件をふまえ、今後の日本国内における高炉(鉄源)プロセスの将来像について討議し、実現に向けて解決すべき課題とアプローチについて議論する。

講師
大野光一郎(九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 教授)
夏井俊悟(東北大学 多元物質科学研究所 プロセスシステム工学研究部門 准教授)
折本 隆(日本製鉄(株)技術開発本部 プロセス研究所 製銑研究部 主席研究員)

講義-1「高炉内現象制御への挑戦のこれまでとこれから」(大野講師)
講義-2「動力学シミュレーションと3Dデータ解析を用いた高炉の局所閉塞現象の考察」(夏井講師)
講義-3「省CO2に向けた製鉄技術」(折本講師)

宿題
鉄鋼業を取り巻く環境や今後の種々の制約条件をふまえ、「あなたが理想と考える将来の国内高炉(鉄源)プロセスの将来像」について説明して下さい。レポートには、キーワードを参考に、現状をもとに、将来の課題と将来課題解決に対応する理想像(プロセス)を根拠とともに提案して下さい。提案にあたっては、極力客観的な関連資料のレビューを実施し、根拠となる出典(文献、参照URLなど)は、レポートに記載してください。
[キーワード]資源劣質化、省CO2、高効率・高生産性、等

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

(2)製鋼コース

テーマ「地球環境に配慮した高級鋼精錬プロセスの将来像」

我が国の鉄鋼業が、世界で持続的に事業を発展させるためには、付加価値の高い高品質鋼を造り込み、かつ製造コストの低減と生産性の維持向上しながら、地球環境と調和する新たなプロセス確立が求められる。本セミナーでは、次世代(5~10年先)を見据えた製鋼工程のあるべき姿を構想し、高品質鋼製造プロセスの進むべき方向性とそれを実現するために必要なブレークスルー技術について議論することを目的とする。

講師
内田祐一(日本工業大学 基幹工学部 応用化学科 教授)
齊藤敬高(九州大学 大学院工学研究院 材料工学部門 准教授)
内藤憲一郎(日本製鉄(株)技術開発本部 プロセス研究所 製鋼研究部 精錬研究室 室長)

講義-1「多様な鉄源を用いた環境配慮型精錬プロセスの近未来像」(内田講師)
講義-2「多相融体の流動挙動と機械学習を用いた見かけ粘度推定」(齊藤講師)
講義-3「精錬プロセスの変遷とその将来像」(内藤講師)

宿題
最近の東~東南アジアの鉄鋼業を取り巻く環境や状況を踏まえ、製鋼プロセスにおける3~5年先の課題および10年先の課題を設定し、その対応策を述べて下さい。下記の2項目(①、②)に対して、キーワードを参考に、現状の課題と革新的高品質鋼製造を可能とする製鋼プロセス・技術を提案してください。提案にあたっては、関連資料のレビュー、バウチャーを明らかにし、レポートに記載してください。

①高生産性と高品質化を両立する技術
[キーワード]高純度鋼精錬方法、高清浄鋼製造方法、高級鋼の作り込み技術、歩留まりアップ、プロセス制御、データサイエンス、ロボティックス

②地球環境と調和する製鋼プロセス
[キーワード]スラグ・ダスト・スラッジ・廃耐火物処理、CO2低減、エミッションフリー、スクラップ製鋼、高炉―転炉法と電気炉法の融合

また①、②とは別に、産学連携の活性化を実現するための学側への要望、企業から学側への働き掛け、交流の方法について、意見・提案を述べてください。

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

(3)圧延コース

テーマ「次世代の厚板圧延プロセス技術を考える」

厚板は造船、建築・橋梁、エネルギー関連設備などの幅広い用途に用いられる素材である。近年、中国、東南アジアを中心とした国々で厚板製造設備が増強され生産能力が拡大している中で、素材としては構造物の複雑化・大型化および使用環境の苛酷化が進む傾向にあるなど、厚板に要求される性能は高度化かつ多様化している。このような要求性能を満足するためには、TMCP技術を活用した材料設計技術と高精度な寸法・形状を作りこむための圧延、矯正などの製造技術・プロセス技術を両立させていく必要がある。
本セミナーでは、今後、国内の厚板鋼板が将来にわたり競争力を維持・拡大していくための技術課題と、それに必要な次世代の厚板プロセス、技術について議論を行う。

講師
瀬沼武秀(岡山大学 客員研究員)
前田恭志((株)神戸製鋼所 技術開発本部 材料研究所 研究首席)
青山 亨(スチールプランテック(株)プラントエンジニアリング本部 薄板エンジニアリング部 薄板技術グループ グループマネージャー)
箱山智之(岐阜大学 工学部 機械工学科 助教)

講義-1「熱間圧延の組織制御」(瀬沼講師)
講義-2「厚板圧延における寸法・形状とTMCP技術」(前田講師)
講義-3「厚板レベラーの設備課題と近年の技術動向について」(青山講師)
講義-4「金属板の材料特性計測技術・モデリング手法・加工技術の開発」(箱山講師)

宿題
自身が担当する圧延、材料分野において、将来にわたり日本が競争力のある厚板鋼板の製造を継続していく姿(例えば材質的な高強度、高靭性、高溶接性などの特性向上、他国との差別化を実現する仕組み・プロセス、製造プロセスにおける省エネ等)を想定した場合、
  • ①既存装置・技術で製造ネックとなる要因や課題を分析、整理してください。
  • ②①の課題を解決する厚板製造設備、技術、プロセスについて、文献等を参考に対応策を考察してください。
  • ③更に、次世代厚板鋼板製造のための理想プロセス、設備、要素技術について既成概念に捉われず自由に発想し、複数のアイディアを提案してください。

[キーワード]厚板圧延、矯正加工、材料設計、加工熱処理、高生産性(稼働率、作業率)、寸法制御、形状制御、設備技術、プロセス制御技術、センサー利用技術、数値シミュレーション、データ活用(ビッグデータ,IoT,AI、カーボンニュートラル、省エネ)

※セミナー当日の宿題発表はパワーポイントで行い、宿題レポートの要点を明確に発表出来るよう構成すること。

2. 基調講演

題目「鉄鋼プロセスにおけるデータ活用」

データがあれば何か凄いことができるらしい。そのような曖昧模糊とした期待は脇に置くとして、具体的な課題とその解決に向けた取り組みを紹介する。これまでに講演者が関わってきた共同研究の事例を交えながら、データのみならず、プロセスや製品に関する工学的知見(ドメイン知識)を積極的に活用することの重要性も指摘する。他産業での取り組みも紹介しつつ、製造現場にデータ活用がもたらす可能性を示したい。

講師  加納 学(京都大学 大学院情報学研究科 システム科学専攻 教授)