産学若手交流セミナーおよび製鉄所見学会の開催ご案内

計測・制御・システム工学部会若手フォーラムは、2007年より産学交流セミナーや学生向け製鉄所見学会を企画運営して、産学連携の強化および技術系学生に対するPRを図ってきました。2025年度は計測分野のトピックスとして「最先端の非接触計測技術」というテーマを設定し、セミナーを企画いたしました。最新の研究・技術動向に関して5件の講演を予定しております。また、1日目には講演者・所属研究室の学生や企業若手技術者を含めた懇親会、2日目には製鉄所見学会を開催する予定ですので、ご参加をお待ちしております。

日時:

2025年10月14日(火)、15日(水)

【1日目】2025年10月14日(火)

・産学若手交流セミナー(前半の部) 13:00~16:50

・懇親会 18:00~20:00

【2日目】2025年10月15日(水)

・産学若手交流セミナー(後半の部) 9:00~12:00

・製鉄所見学会(東日本製鉄所 君津地区)  13:00~15:40

・自由討論 15:40~16:40

※申し訳ございませんが、鉄鋼他社は製鉄所見学会にご参加頂けません。

場所:

セミナー会場:君津本館コミュニケーションホール

懇親会:和泉沢(君津駅徒歩1分)

宿泊施設:各自自費で手配をお願いいたします。

製鉄所:日本製鉄 東日本製鉄所 君津地区

費用:

参加費:なし

懇親会費:7,000円

宿泊費:自費

補足事項:

・懇親会費は本セミナーの受付時に現金でお支払いください。その際、必要であれば受付のセミナー幹事より、領収書をお渡しいたします(事前に必要な旨お伝え頂けると助かります)。

・「総合・自由討論」は、別紙ご案内のグループ分けにて行います。ご講演いただいた先生へのご質問や、各所属における課題感など、自由闊達な議論を期待しております。

・当日、ご不明点などありましたら、セミナー幹事までご相談ください。

主催: 一般社団法人日本鉄鋼協会 学会部門 計測・制御・システム工学部会/計測制御システム分野における産学若手交流フォーラム

講師:

・東京理科大学 末石 智大 先生(若手フォーラム座長)

・科学警察研究所 石井 将人 先生

・埼玉大学 塩田 達俊 先生

・東京電機大学 髙畑 智之 先生

・東京大学 門内 靖明 先生

プログラム:

【1日目】

12:40 君津駅北口集合、バス移動(ご参考:12:30着 内房線(始発駅:逗子))
13:00-13:10 受付
13:10-13:30 開会の挨拶・自己紹介など
13:30-14:30 「鉄鋼プロセスにおける計測ニーズ、技術開発事例の紹介」
企業幹事
14:30-14:40 休憩
14:40-15:40 「高速光学系制御が挑む動的画像計測」
末石先生
15:40-15:50 休憩
15:50-16:50 「流体力学における圧力・温度の非接触計測」
石井先生
16:50-17:30 懇親会場までバス移動
17:30-19:30 懇親会

【2日目】

8:30-9:00 君津駅北口集合・バス移動
9:00-10:00 「非接触3次元形状検査へ向けた光学干渉計測法の可能性」
塩田先生
10:00-10:05 休憩
10:05-11:05 「可視と長波長赤外を融合した環境認識」
高畑先生
11:05-11:10 休憩
11:10-12:10 「テラヘルツ音響効果に基づく超音波計測の非接触化の試み」
門内先生
12:10-12:50 昼食
13:00-15:40 製鉄所見学会
15:40-16:40 自由討論
16:40-17:10 君津駅北口までバス移動、解散

講演概要:

講演者:東京理科大学 末石智大 先生
タイトル:高速光学系制御が挑む動的画像計測

 様々なダイナミクスを包含する実世界は、従来のセンシング方法では扱いきれていないものも多く存在する。本発表では、駆動鏡面や可変焦点など光学系に工夫を施した高速ビジョンシステムを用いて、動的対象を適応的に計測・理解・応用するダイナミックビジョンシステムとその画像計測応用を紹介する。具体的には、音速で飛翔する物体周囲の衝撃波を長時間可視化するシステム、水槽内を自由に泳ぎ回る魚への高解像度合焦イメージングシステム、着座や歩行など非拘束な状態のヒトの眼球への遠隔トラッキング計測システム、テニスのボールマークや卓球のスピンなどの球技スポーツダイナミクスへの適応的計測システムについて、各分野の動向を交えて紹介する。

講演者:科学警察研究所 石井将人 先生
タイトル:流体力学における圧力・温度の非接触計測

 流体力学分野における非接触計測法の一つに、感圧塗料/感温塗料計測(Pressure/Temperature Sensitive Paint Method)がある。その原理は、発光色素の持つ酸素消光/温度消光と呼ばれる現象を利用するもので、発光色素を定着させた計測対象物からの発光情報を記録することにより計測対象物表面の圧力/温度情報を得るという画像計測法の一種である。本講演では、これらの計測原理の詳細や計測・応用事例を紹介した後、高速応答性を有する非定常計測法であるモーションキャプチャー法を用いて行った実飛翔体の表面状態計測の結果についても紹介する。

講演者:埼玉大学 塩田達俊 先生
タイトル:非接触3次元形状検査へ向けた光学干渉計測法の可能性

 講演者が構想してきたシングルショット3次元断層計測システムは、表面検査の基本性能に加え、①高速検査スピード、②振動ロバスト性を備えることにより、既存の検査システムでは不可能であったインラインでの高速かつ高分解能な検査を実現を目指して開発が進められている。本研究で開発する3次元イメージングは、高分解能の測定手法として知られる光学干渉法に、独自のシングルショット断層計測を導入することで、従来必要であった機械的な駆動を行うことなしに瞬時に断層画像を取得することが可能である。既存技術に比べて10倍以上の測定速度(理論限界は6桁倍を見込む)と優れた振動耐性を有す。

講演者:東京電機大学 髙畑智之 先生
タイトル:可視と長波長赤外を融合した環境認識

 人の移動を支援する自律移動型の電動車椅子や、物の移動を支援する配送ロボットなど、人の生活空間における移動ロボットの活躍が期待されている。このためには、刻々と変化する周囲の環境を正確に把握して人や物に衝突しないための、頑健な環境認識能力が重要である。我々のグループでは従来の可視光や近赤外線に加えて、波長が1桁ほど異なる長波長赤外(LWIR)を利用した、ロボットの認識性能の向上に取り組んでいる。これまでに、可視画像とLWIR画像を同じ視点から撮影できる同軸カメラの構成法を示し、可視・LWIR同軸画像によって透明なガラスや夜間の歩行者の検出が可能であることを示した。本講演では上記の内容、および最新の取り組みを紹介する。

講演者:東京大学 門内靖明 先生
タイトル:テラヘルツ音響効果に基づく超音波計測の非接触化の試み

 テラヘルツ波(電波と光の間の概ね 0.1-1 THz 程度の電磁波)を超音波に変換することで、計測対象の内部に超音波を非接触的に生成する技術について研究している。テラヘルツ波は、水をはじめとする様々な身近な媒質で強く吸収されることが知られており、このことはテラヘルツ応用を妨げる要因と認識されてきた。一方で、熱膨張を介して電磁波を音響信号に変換する過程においては、テラヘルツ波の吸収の強さが有利に働く可能性がある。従来、例えば生体超音波計測においては皮膚にトランスデューサを密着させることが不可欠であったが、これを非接触化できれば日常生活中やリハビリ中、あるいはスポーツ中など広範な場面での利用可能性が拓かれる。本講演ではこのような取り組みについて説明しつつ、産業応用の可能性についても検討する。

お問合せ:

JFEスチール株式会社 スチール研究所 サイバーフィジカルシステム研究開発部 大野 紘明
Tel: 080-1939-1974
E-mail:hiroa-ono@jfe-steel.co.jp