第77回白石記念講座
「鉄鋼業への貢献が期待されるCCUS技術(2) -CO2の地層貯留技術・固定技術の最前線-」
(事前申込締切:2026年5月15日)
【講座の視点】
製鉄所のカーボンニュートラル実現には、CO2排出量の抜本的な削減が可能な革新プロセスの導入とともに、CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)技術の社会実装が不可欠とされています。特に、CO2の地層貯留(CCS)や鉱物・生物を活用した固定化技術は、製鉄業における脱炭素化の鍵を握る重要な要素です。
本講座では、第76回に引き続き、製鉄業への貢献が期待されるCCUS技術のうち、CO2の地層貯留技術および固定技術に焦点を当て、国内外の最新の研究開発動向や実装事例、さらには今後の技術的・制度的課題について理解を深めることを目的としています。
製鉄所の将来を担う中堅・若手の研究者・技術者の皆様にとって、知見を広げ、今後の技術開発の方向性を考えるうえで有益な機会となることを期待しています。
| 日時・場所: |
2026年6月18日(水)10:00~16:30 受付時間:9:30~15:40 |
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| プログラム: | |
| 参加申込み: 【4月初旬開始予定】 |
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| 参加費 (税込み、テキスト付): |
会員8,000円、一般15,000円、学生会員1,000円、学生一般2,000円 注)会員割引は個人の会員のみ有効です。協賛団体の個人会員、学生会員も含みます。 *非会員でご参加の方で希望される方には、下記の通り会員資格を会費なしで付与いたします。(入会方法は別途ご案内いたします。) ★テキストは、講座終了後残部がある場合、鉄鋼協会会員価格、一般価格で販売いたします。 |
(一社)日本鉄鋼協会 育成グループ E-mail:educact@isij.or.jp
講演題目及び講演者、司会者
| 9:50-10:00 | 趣旨説明 |
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| 司会者:宇佐見 明(日本製鉄) | |
| 10:00-10:40 | 1) 【基調講演】「Global Status of CCS: CCSの最新動向と今後の展望」 Global CCS Institute 日本代表 南坊 博司 |
| 10:40-11:40 | 2) 【基調講演】「ブルーカーボンの現状と今後の展望」 ジャパンブルーエコノミー技術研究組合(JBE)理事長 (国研)海上・港湾・航空技術研究所 港湾空港技術研究所 領域長 桑江 朝比呂 |
| 司会者:村上 太一(東北大学) | |
| 12:40-13:40 | 3) 【基調講演】「CO2鉱物化による直接固定技術の動向・展望」 ~鉄鋼スラグ・廃かん水利用による有価物生産・岩石風化促進~ 早稲田大学 理工学術院 教授 中垣 隆雄 |
| 13:40-14:30 | 4) 「製鋼スラグからの炭酸塩合成によるCO2固定化と課題-溶媒抽出法を中心に」 (株)神戸製鋼所技術開発本部 材料研究所 佐々木 達弥 |
| 14:50-15:40 | 5) 「環境配慮型コンクリート」 鹿島建設(株) 技術研究所 主席研究員 坂井 吾郎 |
| 15:40-16:30 | 6) 「セメント産業における脱炭素の取り組み 鉱物固定型CCU技術と循環型ビジネスモデルアプローチ」 住友大阪セメント(株) 常務執行役員(セメント・コンクリート研究所長、サステナビリティ推進部 各担当)小堺 規行 |
講演内容
1)【基調講演】Global Status of CCS: CCSの最新動向と今後の展望
南坊 博司
カーボンニュートラルの達成には、CO2の大規模かつ恒久的な削減を可能にするCCSの社会実装が不可欠である。本講演では、Global CCS Instituteが刊行する「Global Status of CCS 2025」に基づき、世界および日本におけるCCSの最新動向を概観する。とりわけ、主要国で進む商業規模プロジェクト、制度的な枠組み整備の進展、資金支援や国際協力の広がりを紹介しつつ、日本における事業法の施行や先進プロジェクトの展開状況を整理する。さらに、社会受容性や越境輸送・貯留といった今後の課題を提示し、持続可能な実装に向けた展望を考察する。
2)【基調講演】ブルーカーボンの現状と今後の展望
桑江 朝比呂
今から約15年前の2009年に国連環境計画(UNEP)が初めて「ブルーカーボン」という言葉を作り出した。当時はこの言葉を知っている人は国内外ではもちろんほぼ皆無であったが、しかし現在、日本では毎日のように新聞や雑誌には登場するようになり、テレビではクイズ番組の問題として取り上げられるまでになった。本講演では、ブルーカーボンの活用を2050年カーボンニュートラルという国内外の目標の達成に不可欠な炭素除去技術(CDR)かつ自然ベースの解決策(NbS)の一つであることを説明したうえで、日本における(1)ブルーカーボンに関する研究や技術開発の最新事例や国の政策動向と、(2)漁業者、市民、自治体、そして民間企業など多様な主体の自主的な参画によるカーボンクレジットの取引など社会実装化に関する最新情報を紹介する。
3)【基調講演】CO2鉱物化による直接固定技術の動向・展望~鉄鋼スラグ・廃かん水利用による有価物生産・岩石風化促進~
中垣 隆雄
CO2を資源と捉え、積極的に利用していくカーボンリサイクル技術のうち、水素が不要で半永久的に固定可能な鉱物化(炭酸塩化)については、合成燃料・化学品等よりも先行して社会実装が可能であるとされている。また、鉱物化は自発反応であるためCO2分離回収も省略可能であり、比較的経済性も確保しやすい特徴がある。本講演ではCO2鉱物化による直接固定化技術のうち、鉄鋼業からの副生スラグと海水や淡水化プラントからの廃かん水を用いた有価物へのカーボンリサイクルについて詳細に説明する。さらに、ネガティブエミッションへの応用として炭素会計の明確な岩石風化促進技術も紹介し、技術全体を俯瞰した動向や展望を述べる。
4)製鋼スラグからの炭酸塩合成によるCO2固定化と課題-溶媒抽出法を中心に
佐々木 達弥
アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)を利活用した炭酸塩鉱物化は、水素を介さずにCO2を固定化可能な方法であり、早期実現が期待される技術である。特に、日本国内の産業副産物や未利用資源中のアルカリ土類金属イオンを用いた炭酸塩鉱物化は、資源循環の観点からも有望である。本講演では、まず製鋼スラグを用いた炭酸塩合成によるCO2固定化に関する既往研究を概観し、技術的知見および課題を整理する。その上で、鉄鋼業由来の副産物をアルカリ土類金属源として活用し、2021年度よりNEDO委託事業として、溶媒抽出法を用いた炭酸塩合成によるCO2固定化技術の構築を検討した成果と今後の課題について概説する。
5)環境配慮型コンクリート
坂井 吾郎
地球温暖化による気候変動の抑制が大きな社会課題とされる昨今、建設工事において、必要不可欠な主要資材であるコンクリートは、その使用材料であるセメントの製造過程に由来して多量のCO2排出量を背負っており、その低減が重要な研究開発課題の1つとなっている。本講座では、セメントの使用量の低減に資する技術、特に高炉スラグ微粉末を多量に使用したコンクリート技術について概説する。また、CO2の削減に加え、炭酸塩(CaCO3)の生成を利用してコンクリートへのCO2の吸収・固定を行い、実質のCO2排出量をマイナスにしたカーボンネガティブなコンクリートについて、その技術と普及展開の現況、今後の展望等を述べる。
6)セメント産業における脱炭素の取り組み 鉱物固定型CCU技術と循環型ビジネスモデルアプローチ
小堺 規行
循環型ビジネスモデルは、廃棄物を減らしながら可能な限り資源の流れを管理し、循環時間を遅らせることを目指す。この視座に立つと、セメント産業は我が国最大の静脈産業の一つであり、約4,600万t/年の生産量に対し2,300万t/年もの産業副産物・廃棄物を熱エネルギー・原料として受け入れていることはあまり知られていない。またセメントを原料とするコンクリートの寿命は数十年と長く、解体・処分の際にもCO2の発生がほぼ無いため、まさにCBMの具現化に最適な産業と捉えられる。本稿ではNEDOグリーンイノベーション基金による研究成果を循環型ビジネスモデルとして社会実装し、世界に発信するCO2再資源化人工石灰石と、これを利用したカーボンリサイクルセメントについて、その技術の概要と現状を報告する。
会場案内

鉄鋼会館 会議室
(東京都中央区日本橋茅場町3-2-10)
JR:「東京駅」八重洲口より徒歩約15分
地下鉄:東西線「茅場町駅」12番出口より徒歩約5分
日比谷線「茅場町駅」1番出口より徒歩約5分、「八丁堀駅」A5番出口より徒歩約5分
https://www.tekko-kaikan.co.jp/publics/index/4/
※講座案内のチラシはこちらからダウンロード出来ます。

