2022年秋季(第184回)

第184回討論会テーマ

討論会の原稿枚数は、A4判4枚以内で作成願います。
ここにおける提案者は、講演大会において当該セッションの座長および副座長に指名されますので、ご了承ください。

1. 計測・制御・システム工学分野
「高能率・安定圧延を実現する人とシステムのシェアードコントロール」
提案者:北村章(大和大)、岸真友(日本製鉄)
人とシステムの信頼に基づくシェアードコントロールは、自動車の自動運転分野への展開が進んでいる。本研究会では、創形創質工学部会と共同で、冷延タンデムミルの制御を対象として、制御システムと人の協調による圧延のシェアードコントロールについて研究してきた。ここでは、高精度圧延モデルを搭載した圧延シミュレータ、圧延オペレータの介入に関わるモデルと新たな板厚制御システム、および、それらを表示するインタフェースで構成される圧延のシェアードコントロールシステムの研究成果について報告する。
2. 計測・制御・システム工学分野
「攻めの操業を支えるシステムレジリエンスの最新動向」
提案者:藤井信忠(神戸大)、楢崎博司(神戸製鋼)
製鉄業の複雑なサプライチェーンにおいて、余裕最小化と変動耐性最大化を両立する「攻めの操業」を実現するために、安定余裕評価、破綻リスク予測技術と、状況悪化時でもシステム全体動作の健全性を最大限維持するためのシステムレジリエンス操業技術を開発することが求められている。本討論会では、レジリエンスのシステムモデルを構築するとともに、自動化ではなく、安定逸脱過程における人間の介入判断を支援することを目的として発足した研究会の最新動向を共有すると共に、関連するトピックについて討論する。
3. 計測・制御・システム工学分野
「エリアセンシングによる製鉄所設備診断」
提案者:石井抱(広島大)
多様かつ広い範囲に及ぶ製鉄所の基盤インフラ設備の異常監視を適切に行うために、 画像をベースとしたエリアセンシングの期待は大きい。本討論会では、2019年度から活動している研究会II「エリアセンシングによる製鉄所設備診断」の成果について報告を行い、今後の方向性を展望する。
4. 創形創質工学分野
「圧延およびプロセッシングラインへのデータサイエンス技術の適用」
提案者:前田恭志(神戸製鋼)、岸真友(日本製鉄)、松原行宏(JFEスチール)
ビッグデータを用いた、先進的な学習、認識、予測手法を含むデータサイエンス技術は大きな進歩を遂げており。鉄鋼生産プロセスでも様々な分野での適用が報告されている。本討論会では、圧延およびプロセッシングラインへの適用事例に関して討論を行い、今後の技術動向を探る。
5. 材料の組織と特性分野
「溶融めっき皮膜構造と物性に関する現状の理解と今後の展望」
提案者:高田尚記(名大)、竹林浩史(日本製鉄)、木庭正貴(JFEスチール)、大友亮介(神戸製鋼)、石井康太郎(日本製鉄)
合金化溶融亜鉛めっき鋼板(GA)や溶融亜鉛めっき鋼板(GI)は耐食性に優れ、アルミニウムめっき鋼板は耐熱性も併せ持つため、種々の構造部材に使用されている。近年、高強度表面処理鋼板を複雑形状に加工するため、冷間加工だけでなく熱間加工プロセスも適用されており、溶融めっき皮膜に要求される機能も多様化している。本討論会では、種々の溶融めっき皮膜構造と物性に関する現状の理解を確認し、種々の機能性を支配する構造因子の理解に向けた今後の展望を議論する。
6. 材料の組織と特性分野
「高強度鋼における組織と不均一塑性変形挙動の関係」
提案者:土山聡宏(九大)
TRIP鋼やDP鋼など、高強度を有する複合組織鋼では、基地中のマルテンサイト、ベイナイト、残留オーステナイト、析出物など第二相組織の存在により不均一な応力・ひずみ集中を生じ、それが材料の加工硬化や破壊の挙動に大きく影響を及ぼしている。また単一組織であるマルテンサイト鋼においても、階層的な下部組織に起因した不均一変形が生じることが明らかとなっており、そのマクロ特性への影響に興味が注がれている。本討論会では、これらの高強度鋼におけるさらなる特性改善のための組織制御指針を得ることを目的とし、とくに引張試験や疲労試験の初期段階における不均一な降伏および加工硬化挙動、ならびに後期段階の局部変形と破壊の関係に着目し、実験的な解析手法により組織と不均一塑性変形挙動の関係の明確化を試みる。また、計算工学的手法による不均一変形挙動の予測や破壊機構の解明に関する研究成果の現状についてもレビューする。
7. 材料の組織と特性分野
「構造材料の生物劣化の究明 ~診断と解析~II」
提案者:宮野泰征(秋田大)
金属表面のバイオフィルム形成挙動および腐食・劣化挙動の可視化に関する新研究手法提案、腐食誘導に関与する微生物群および代謝物質等に関わる新知見の集積、微生物腐食の発生機構解明や対策・抑止技術開発などに関する領域は、材料研究の重要な研究課題を内包するテーマと考えられる。本討論会では、上記研究課題について材料学的、微生物学、環境化学などの各方面からのアプローチについて紹介頂き、討論を行いたい。