2025年秋季(第190回)
第190回討論会テーマ
討論会の原稿枚数は、A4判4枚以内で作成願います。
ここにおける提案者は、講演大会において当該セッションの座長および副座長に指名されますので、ご了承ください。
- 1. 高温プロセス分野
「高水素高炉用焼結鉱の製造と特性評価研究会」中間報告会 - 提案者:村尾玲子(日本製鉄)、岩見友司(JFE)
- 製鉄におけるCO2排出量削減は重要かつ喫緊の課題である。現在、高炉内のH2濃度を大幅に増加させた低コークス比操業に関する研究開発が進められている。さらなる高H2・低コークス比操業においては炉内の通気性維持のため、焼結鉱の被還元性や耐還元粉化性など、より一層の高品質化が求められる。本討論会では、焼結鉱鉱物組織、特に、高被還元性・耐還元粉化性に優れる多成分カルシウムフェライト(多成分CF)に着目し、多成分CFの組成・結晶構造や焼結鉱の組織と被還元性・耐還元粉化性の関係について議論する。
- 2. 高温プロセス分野/サステナブルシステム分野
「日本鉄鋼業のカーボンニュートラル実現に向けた水素還元技術の開発」 - 提案者:岸本康夫(JFE)、宇治澤優(日本製鉄)、石渡夏生(JFE)
- 鉄鋼生産におけるカーボンニュートラルの実現に向けて、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所の高炉3社と金属系材料研究開発センター(JRCM)は「水素製鉄コンソーシアム」を結成、多数の大学や研究機関とも連携して、水素還元プロセスにかかわる研究開発を推進している。この研究開発では、サステナブルな社会への貢献のため、水素で還元することに加え、低品位鉱石を使用しながらも高級鋼を生産するという、我が国固有の課題も克服する必要があり、高温プロセスに関わる様々な分野でのイノベーションや知見の蓄積が必要である。本討論会では2050カーボンニュートラルの実現に向けた国の動向とともに本プロジェクトの概要や進捗を紹介し、水素還元法にかかわる様々な課題に取り組んでいる研究者には研究内容の紹介にあわせて今後の展望を語っていただく。
- 3. サステナブルシステム分野
「『鉄鋼カーボンニュートラル研究助成』による萌芽・先端シーズ技術の発展」 - 提案者:岸本康夫(JFE)、星野岳穂(東大)、村上英樹(科学大)
- 日本鉄鋼協会では2022年度に「鉄鋼カーボンニュートラル(CN)検討会議」を設置した。この会議は、産業競争力を維持しつつ製鉄プロセスの「カーボンニュートラル」を実現するシナリオを、科学・工学の視点から議論する場として位置付けられ、活動を続けている。
「鉄鋼カーボンニュートラル(CN)検討会議」の下では、鉄鋼業におけるカーボンニュートラルに資する基礎検討の推進と、萌芽的・先端的シーズ技術の発掘を目的として、「鉄鋼カーボンニュートラル研究助成」制度を新たに設け、基礎研究や先端技術の発掘を支援している。2022年の助成開始から3年が経過したことを受け、これによって得られた成果を講演大会の場で報告する機会を設け、研究助成により生み出された鉄鋼業のカーボンニュートラルに資する萌芽・先端シーズ技術を紹介する。
- 4. 計測・制御・システム工学分野
「3Dエリアセンシングによる製鉄所設備診断」 - 提案者:石井 抱(広島大)、今西大輔(JFE)
- 製鉄所大型インフラ設備の安定稼働や点検・監視業務省人化を実現するためには、画像での広域3D微小振動・歪分布計測(3Dエリアセンシング)とシミュレーションが連携した、3Dデジタル再現による構造劣化の空間可視化を行うサイバー・フィジカル統合モニタリング技術の高度化が必要である。本討論会では広域サイバー・フィジカル統合モニタリング技術の高度化に関する最新研究を共有し、討論を行う。
- 5. 創形創質工学分野
「高度な厚板圧延を目指した新マテリアルズプロセシング」 - 提案者:柳本 潤(東大)、中村洋二(日本製鉄)
- 厚板圧延には1970年代から熱加工圧延・制御圧延が導入され、高強度、高じん性、耐アレスト性に優れた厚鋼板が開発されてきた。厚板圧延は、材料研究・開発と圧延・冷却プロセスの研究・開発が同期し、両者の進歩と軌を一にして発展しており、今でも研究・開発が急速に進んでいる。
本討論会では、厚板圧延に関連する研究・技術開発をレビューするとともに新しい研究・技術開発にも触れ、今後の動向を含めて討論する。